職業大を志望した理由を教えてください。
私は一度文系の大学を出て、学んだことは全く関係のない仕事に就き、数年勤めた後、忙しさに堪えかねて辞めました。恥ずかしい限りですが、甘い覚悟で仕事を選んでいたわけです。その反省から、専門的な技術を持ち、きちんと自分の応えられる範囲で、責任をもって仕事をできるようになるべきだと思い、職業大に入学しました。電気に関する技術を学ぶことにしたのは、現代社会のあらゆる局面に欠かせない技術であり、需要が高いだろうと考えたためです。
職業大での学生生活はどうでしたか。
専門技能の実習や、高校以来の理数系の勉強は新鮮で面白く、自分で言うのも何ですが真面目に取り組みました。同級生は素晴らしい人間性の持ち主ばかりで、私とは少し歳の差がありましたが、いい意味で気を使わずにいてくれ、共に学び合い、笑い合う関係でした。よき友、よき師に恵まれ、充実した4年間を過ごすことができました。また、「ものづくり」に関する学問分野の幅広さに驚きました。とても挙げきれませんが、高い品質を支える製造手法や検査手法の開発、製品に生じる現象のシミュレーション、暗黙知とも言える「職人技」を科学的に明らかにしようとする研究なども行われています。全く知らなかった世界だなと感じました。
職業大で学んだことが、現在の仕事にどのように活かされていますか。
令和5年4月から北海道職業能力開発大学校で学生指導を行っています。能開大で教えたいという入構以来の希望が昨年叶い、職業大で学んだことを、今度は私が指導する立場になりました。今の業務をする上では、学んだ中身(知識・技能)だけでなく、それらを身につけていったプロセス、苦労した記憶などを含めた職業大での経験が、ほぼすべて活かされています。当校に赴任する直前、実家で保管していた職業大時代のノートや教科書を段ボールに詰めて北海道に送りました。すっからかんになった棚を見て、ふと、「自分が勉強してきたことを、これほどそのまま仕事に活かせるのは幸せなことだな」と強く感じました。
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私は、10代のうちから工学やものづくりを志す人達を尊敬しています。是非、それらの分野で自分の「好き」や「得意」を探し、見つけてください。きっと皆さんなら見つけられるでしょうし、見つかってしまえば、それを専門に生きていく基礎は、職業大の学びで手に入れることができるはずです。厚労省所管ですから、企業の求める技能・技術を教え訓練するノウハウや、実習環境の安全配慮に関して大変蓄積のある学校です。「ずっとラダープログラムを書いて生きていきたい」と言っていた同級生はメーカーに勤務して、今もラダーを書いています。皆さんによい出会いと学びがありますように!