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建築専攻

  • 鉄筋コンクリート建築施工の実習
  • 鉄筋コンクリート部材の構造性能評価
  • 木造建築施工の実習
  • 高度技能実習1(木造建築施工の実習)
  • 建築設計製図
  • 環境工学実験(赤外線サーモグラフィ)

建築は人間が生活する環境を創造するうえで不可欠なもの、その技術者を育成します

建築生産技術は、戸建住宅から超高層ビルまで人間の生活環境を創造するうえで不可欠なものです。それは様々な技術を有機的に統合して企画・計画・設計・施工・維持保全されてきました。現在では、安全・安心な福祉住環境、自然との共生など新たな課題があり、伝統的な技術・技能に加えて、新たな生活価値の創造や耐震・免震技術、高気密高断熱技術、新たな施工技術などに対応できる人材が望まれています。
建築専攻では、計画・設計、構造、環境・設備、構法・材料・施工を基礎とし、その上で主要構造である木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造などを中心とした建築の生産技術を構築するための講義・演習・実験・実習を体系的に組み合わせたカリキュラムを提供します。技能を習得する過程に発生する現象の実験的・理論的な解明を通じて幅広い問題解決能力を養い、建築物の生産方法を自ら提案できる設計・生産能力の基礎を習得することで、建築工事の技術・技能と生産現場で指導的役割を担う能力を兼ね備えた技術者を育成します。

学べるポイント!

  • 建築計画、構造、設備、構法・材料・施工の基礎知識を学びます。
  • 設計実習を通じて、建築の設計、製図、性能評価の技術を身に付けます。
  • 各種測定機器や道具の使用法などの基本的な技術・技能を身に付けます。
  • 建築生産技術を実物施工などの実習・実験を通じて体系的に学びます。
  • 建築生産現場に必要な応用力や問題解決能力を身に付けます。
  • 職業能力開発促進法に基づいて、卒業時に行われる「技能照査」により技能の質を保証します。(合格者には「技能士補」の称号を付与します。)

取得を目指す技能士

  • 2級技能士(建築系に関する職種[以下、1級も同様]、在学中に受検資格)
  • 1級技能士(技能士補の実務経験2年で学科免除、卒業後実務経験1年で受検資格)

取得できる資格等

  • 建築士(受験資格 *1)
  • 建築施工管理技士(受験資格 *2)

*1 一級(卒業後2年以上の実務経験)、二級(実務経験不要)
*2 1級(卒業後3年以上の実務経験)、2級(卒業後1年以上の実務経験)

専攻主任からのメッセージ - 和田 浩一 教授

和田 浩一 教授

建築技術者として未来への扉を開こう


建築は、人間の生活を支える重要な要素の一つで、人類と共に進化を続けてきました。近年は、単に建築を生産するだけではなく戸建て住宅から超高層ビルに至るまで、魅力的で環境負荷の小さい持続可能な建築が求められるようになってきました。持続可能な建築を目指すためには、伝統技術の良さを生かし、先端技術や環境配慮技術を駆使してものづくりをしなければなりません。また、建築の分野は、構造、環境・設備、施工などの技術(エンジニアリング)という側面と、計画・意匠設計、家具・インテリアなどの芸術的な側面を併せ持っています。安全で快適、そして魅力的で持続可能な建物は、これらのことが複雑に絡み合いながら形成されており、無限大にその可能性が広がっています。建築専攻では、講義・演習にて理論を学び、実験・実習において実際の建物をつくり、最新の技術で建物を評価する実践的で総合的な教育プログラムを用意しています。
建築専攻で学び、さまざまなことに挑戦し、未来への扉を開いてください。

カリキュラム

伝統から最先端までの実践的な技術に対応できるように
建築生産の基礎技術からイノベーション技術までを学びます

建築計画・設計、建築構造、建築環境・設備、建築構法・材料・施工の各分野で、現代の建築におけるイノベーション技術とともに、我が国特有の伝統的な技能、例えばノミやカンナによる木造の仕口や継手の加工を習得します。また、コンクリート施工、室内の左官・クロス施工など、現場さながらの豊富な実習を通して、高品質の施工技術・技能に加えて、建築の生産プロセス(企画、計画、設計、施工、維持)で求められる管理技術を身に付けます。そして、企業実習や、総まとめとしての卒業研究を通して、最先端までの実践的な技術に対応できるようになります。
 

建築専攻研究ユニット紹介

ユニット名 概要
建築計画・設計・CADユニット

 建築計画・設計・CADユニットは、建築・都市における建築計画、設計、CAD分野の教育と研究を行っています。
 建物は、都市や地域、敷地の調査から、建築の企画、計画、意匠設計、構造設計、設備設計、施工、竣工というプロセスを経てできあがります。当ユニットは、この都市・建築における調査から意匠設計までの技術・技能分野を教育と研究の対象としています。
 建築計画は、設計をするための準備の段階です。都市・建物の空間や人々の様々な行動、設計の進め方などについて学びます。
 建築意匠設計では、イメージを建物の形にしてゆくためにコンセプトからイメージへの展開し、具体的な都市・建築空間をつくって方法を学びます。さらに設計発表会をとおしてプレゼンテーション能力も養います。

建築施工・構造評価(木造)ユニット

 研究は、木造建築の構造性能を評価する木質構造、木造建築の施工に関する建築施工分野、建築大工技能の評価、指導方法に関する技能科学分野におけるテーマに取り組んでいます。木質構造分野では、部材が機械プレカット加工された接合部に関する実験に系統的に取り組んでいます。また、建築施工に関する分野では、職人不足、技能継承、国産材の利活用促進、住宅ストック問題を解決できる内装木質化を提案しています。技能科学分野では、建築大工技能の可視化を行って、技能習得の効率化を図れる指導方法を提案しています。
 教育は、総合課程、長期養成課程職業能力開発研究学域における修士課程相当、高度養成課程において、木造建築の構造、施工、内装施工に関する講義・実習・実験を担当しています。
 建築大工職種に関する若年者ものづくり競技大会、技能五輪全国大会の競技運営、技能五輪国際大会の建築大工職種選手強化分科会の運営に貢献しています。

建設施工・構造評価(RC)ユニット

建設施工・構造評価ユニットは、主に鉄筋コンクリート造建物の施工と安全な建物を作るために必要な教育・研究を行っています。
講義では、鉄筋コンクリート構造や構造力学、木質構造、建築物の維持保全を担当しております。実習では、実際の鉄筋コンクリート造建物を、部材(型枠、鉄筋)を加工して建築します。この実習を通して、講義で学んだ建物の構造や施工法を体験しながら習得すると同時に、建設業で必要な多くの要素を調整する能力を身につけます。研究では、人材不足が懸念されている建設技能者の育成のため教材作成や、構造物全般の耐震性能の評価を実施しています。

建築仕上・材料評価ユニット

建築仕上げと建築材料分野を専門とした教育・研究活動を行っています。教育では、建築材料学、建築材料実験、鉄筋コンクリート施工および左官・タイル施工などの分野を担当しています。一般的な理論を実験により確認することで、理論と現象のつながりを総合的に学べるような授業や、鉄筋コンクリート工事や左官・タイル工事における技能要素を、実習をとおし自ら経験して体得できるような授業の展開を心がけています。研究では、建築の構造材料であるコンクリート材料、コンクリートブロック組積造に用いる材料、建築仕上材料である左官材料などを専門に研究しています。

建築構造ユニット

 我が国は、世界有数の地震大国であり、建物を設計する上で、地震に対する建物の構造安全性の確保は、最重要課題です。
 建築構造ユニットでは、建物の耐震性能を精度良く推定する方法を提案することを目的として、構造実験により耐力壁や接合部の強さを明らかにしたり、振動実験により地震動に対して建物がどのように動くかなどを調べています。
 右の写真は、木造制震壁の開発を目的とした、木造制震壁を設置した木造三階建て建物の振動実験(職業大と民間企業及び他大学との共同研究)の様子です。建物内に制震壁を設置した建物(右の建物)は、制震壁がない建物(左の建物)より地震に対する変形が小さくなっています。また、制震壁の性能を調べる実験は、学生の卒業研究の一部として取り組みました。
 このように、本ユニットは、建築構造物の構造性能評価に関する研究に取り組んでいます。

木工・塗装・デザインユニット
  • 木工・塗装・デザインユニットは、主に木材の材料特性を調べる研究と木材乾燥や木材接着を含む木材加工技術の開発に関する研究を行っています。木材の特性をよく理解し、そして、木材に対して高付加価値をもたらすような加工技術開発に関する研究を行うことで、持続可能な社会の構築に不可欠な、木材の有効活用や利用範囲の拡大を目指しています。
  • 教育は、木材加工技術における特に各種木工機械を用いてものづくりを行う木材加工実習,木材や木材加工の理論を扱う木材加工法,木質材料の講義、木材加工用機械の安全な使用方法に関する実習等を担当しています。
  • 対外的な活動として、若年者ものづくり競技大会における木材加工職種の競技運営、技能五輪全国大会における家具職種の競技運営に貢献しています。
建築環境設備エネルギーユニット

日常の生活において水を使用する機会は多く、水道水が使用できなくなると様々な困難が生じることでしょう。当たり前のように使用している飲み水やトイレなどの水道水は、給水管によって配られ排水管によって排除されます。こうした配管材料は建物自身よりも老朽化が早く、適切なメンテナンスが必要です。

私たちの研究室では、こうした配管材料の劣化を調査する方法として、振動実験による方法を提案しています。物体の劣化は振動性状の変化として観測することができます。この方法を用いることで、劣化だけでなく配管材の種類や管内の詰まりを調べることも可能です。